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オウプナーズ クルマ編集部/OPENERS CAR Editors
From OPENERS CAR Editors

日々、クルマニュースの配信や、試乗に追われるOPENERS CARカテゴリー編集部員たちが、記事からこぼれてしまった情報や、気になった話題、あるいはページができるまでの裏側を語らうCARページの番外地。






月別アーカイブ: 7月 2012

フォルクスワーゲン CCが好きだ

じつはさきごろ、僕、Sは、フォルクスワーゲンCCと、合計600kmほどの距離をともにするという幸せな機会をえた。僕はこのCCというクルマが好きだ。最初にその姿を写真で見たときから、惹かれていたが、乗ったらさらに好きになった。

フォルクスワーゲンCCについての基本的な情報は、OPENERSにニュース記事もあるので、そちらを見ていただきたいけれど、これは4ドアクーペとよばれるジャンルに属するクルマで、4ドアセダンのパサートを基本としている。

CCの第一の魅力はデザインだ。基本的なデザインの要素はいまのパサートとおなじ。だけれど、仕上げがまったくちがう。CCではクルマが全体的に低く、薄く、幅広いことを強調している。先代のパサートCCもよかったけれど、このCCの、装飾性がなく、直線と曲線、そして曲面で表現された形をみると、まよいを断ち切り、フォルクスワーゲンの4ドアクーペはこれだ、と、確信を深めているように感じる。ほかのクルマとの優劣を比較するような存在では、もはやない。

正面に立ち、クルマを上から見下ろす。ヘッドライトから前輪の上にあたる部分にかけてのやわらかな丸みが、クラシカルなスポーツカー、あるいはビートルのようなふるいクルマの形を彷彿させる。後ろ姿もまた、パサートと基本的におなじデザインであるにもかかわらず、クルマの低さ、薄さを強調するように、バランスの細かな変更があって、CCならではのキャラクターが背後までしっかりと貫かれているのを感じてうれしくなる。ここもまた、装飾の追加など、安易な手法によって生み出された形ではない。見ようによってはCCとみえるライトの発光もステキだ。

サイドから見ると、ノーズが短い前後のバランスが独特。このクルマは前輪駆動で、小さなエンジンがフロントに横置きに収まっているのだ、と主張しているかのようだ。これは、ロングノーズに大出力エンジンを美徳とするような、ふるいクルマ文化の爽快な無視であって、このクルマの意思表明みたいなものだ。エンジンはなにせ、たった1.8リッターの4気筒でしかないのだ。現在の技術をもってすれば、それで十分なのだ。

インテリアにかんしても、ここはフォルクスワーゲンの他のモデルと大きく変化はないし、パサートCCとくらべれば、ほとんどおなじだけれど、外観のイメージとの統一感があって素晴らしい。流行を追うような印象をうけない。トラディショナルな格好をして乗ってこそ、映えるとおもう。緊張感と、あたたかみが同居している。

さて、デザインは、そういったわけで、もはや完成をみており、未来永劫色あせないだろう、という絶賛において締めくくり、せっかく長く乗ったのだから、こまかなことを言おう。

実際に運転席にすわると、シートに身体がすっぽりとつつまれる。着座位置は低く、また、クルマの中央にちかい。基本的にはかためのシートだけれど、うね状に走るラインがやわらかく、とても気持ちがいい。フロントシートのアジャストは電動でできて、手動にはなるけれど、ヘッドレストは上下のみならず前後にも調節できる。ただ、ハンドルは電動アジャスターつきではないので、走りだす前に、上下前後のポジションはしっかりと決めておいたほうがいい。


広々とした室内は、実は収納が少ない。助手席のグローブボックスは、説明書の類がいっぱいであまり余裕はない。ハンドルの右下にポケットがあるけれど、これも深さはそこそこあるものの、それほど幅はないので、入るものは限られる。ドアのポケットもあまり大きくなく、小さめの手帳や大きめの財布でうまってしまう程度だ。前席のあいだの肘掛けの下と、シフトレバー後方のドリンクホルダー部分が一番使いやすい小物の収納場所だった。

 

後席になると、さらに収納はなくて、フロントシートうしろのポケットと、中央の肘掛けにしかない。

 

レザーは高級なナパレザーを効果的に使用している。ただ、ドアハンドルには薄いビニールレザーが巻かれていて、ここは革巻きにしてくれるのでなければ、樹脂がいいなと感じた。試乗したクルマは、試乗会の撮影の際に金属のものでもぶつけたのか、ビニールレザーがすこし剥がれていた。手に触れる部分だし、傷もつきやすいところだろうから、耐久力のあるもののほうがいいとおもう。

細いステアリングホイールはしっくりと手に馴染んだ。アクセルを踏み込むと、全長4,815×全幅1,855×全高1,425mmのボディは、すこし後方に沈み込むようにして発進する。いまや巨大化いちじるしい、こういうクルマのなかでは、比較的に、大きすぎることもなく、着座位置の低さと、視界のよさがきいているのか、車両感覚はつかみやすいCCだけれど、やはり街中では大柄だ。駐車であるとか、細い道への侵入、人の多い場所では気をつかう。段差や路面のうねりはふわっと受け流す。パサートよりも硬いといわれる足まわりだけれど、それでもやわらかい。

風がつよく、雨がぱらつくなか、首都高速をふくめて深夜の高速道路を300kmほど走った。道の繋ぎ目でも、路面の状態がよくないカーブでも、4輪はしっかりと地をつかみ、とりわけロールやヨーが出ず、ふらつかない。雨であれば、誰だって怖いものだけれど、常識的な速度で走行するかぎり不安はない。ごおっと風の音が聞こえても、車体は安定している。ヘッドライトは必要な部分を、広く、まぶしすぎない程度に照らしてくれる。

デュアルクラッチトランスミッションが2,000rpm前後で7速までどんどんシフトアップしていき、100km/hは7速2,000rpm。高速巡航は快適だ。エンジンは振動も騒音も気にならず、ヒューっという音を室内にとどける。これにロードノイズと排気音がまざり、ドアのハンドルとトリムをうっすらと照らすアンビエントライトの演出もあって、まるで飛行機のビジネスクラスに座っているみたいだ。

CCにはテクノロジーパケージというプラス25万円のオプションがあって、これはぜひ設定したほうがいいと高速巡航時に感じた。時速65km以上でレーンキープアシストシステムが有効になると、路面の白線をカメラが読み取り、正しい方向へは通常よりも軽くステアリングが切れるけれど、ダメなほうへは重くなるので、手を沿えているだけで、自然に良いラインで走れる。もちろん、頼り切るわけにはいかないけれど、安全を考えれば、これがあればきわめて有利だ。

別の日には、山道にも持ち込んだ。すると想像以上にCCでの運転が楽しかった。カーブでは狙った場所にすっと鼻をむけ、力強く立ち上がる。ハンドルは少し重めで、大きなクルマを右に左にと曲げている気分になるけれど、車体ががっちりとしていて、タイヤもねばり、まるでフラフラしないので、スラロームとでもいうのか、それともミズスマシとでもいうのか、上りでも下りでも、不安なくひょいひょいと軽快にワインディングロードを駆け抜けていける。クルマ全体がぴったりと路面に張り付き、エンジンが軽いせいか、足かせになるような重さを感じない。そして乗り心地がいい。シートはがっちりと体を支えてくれるし、ドライバーは足もちゃんと踏ん張って体を固定できる。シフトはSモードにいれているだけで、高回転域を上手につかってくれる。立ち上がりが弱めで、じわじわと強力な制動力を発揮するブレーキは、こまかなコントロールができてとても好ましい。

CCのエンジンは、スペック上250Nm(25.5kgm)の最大トルクを1,500rpmから4,500rpmまで提供してくれることになっているけれど、感覚的にはトルクの出方にちょっとクセを感じた。そのうち体のほうが慣れてしまって、わかりづらくなってくる程度ではあるけれど、低速、低回転から、一気に力を振り絞るようなときは、気になるといえば気になる。それから、2速と3速のあいだが離れているうえに、4速以降は高速巡航用ギアといった感じなので、山道では、ギアが合わないという場面にまれに出くわす。どんなコースにも完全にマッチするギア比などないだろうし、そもそもこのクルマは、スポーティに山道を走ることを重視してはいないだろうけれど、それでも驚くほど山道を走っても楽しいので、もっとエンジンを味わえるギアがほしいと、つい欲が出た。

標準装備のDCC(アダプティブシャシコントロール)は特に必要性を感じなかった。ノーマルモードが何をするのにもちょうどよくて、ステアリングがクイックになり、足まわりの硬くなる「スポーツ」モードや、逆に、ゆったりとやわらかくなる「コンフォート」モードは、あえて選ぶ理由がみつからない。パドルシフトも、これではちょっと小さすぎて、結局ほとんど使わなかった。シフトレバーがとても操作しやすい位置にあるので、これをマニュアルモードにいれれば、そのほうが使いやすい。

ちなみに室内の広さと荷室、乗り心地の快適性は、本当に大人5人が2,3日分の旅支度をもって移動できるくらいすぐれている。トランクルームは広く、リヤシートは前輪駆動のおかげで、フロアにもあまり段差がなく、大柄な人でなければ3人乗れてしまう。しかもスポーティなフロントにくらべて、リヤシートはやわらかくて、パッセンジャーにはむしろ好ましいくらいだ。ルーフが低いと海外のレビューなどではいわれるけれど、後席に180cmの人が乗っても、それほど窮屈には感じないようだ。海外のレビューといえば、後方の視界も問題視されることがあるみたいだけれど、個人的には何も問題を感じなかった。それよりも、リヤウインドウには、電動のサンシェードが標準でそなわっていて、夏場は重宝する。

ちなみに燃費だけれど、満タン法で計測して、山道を高回転で、数日にわたって登ったり下ったり走った場合が9km/ℓ。高速巡航と街乗りで使って12.8km/ℓだった。だいたい、人や荷物をのせていたので、一人で乗ればもうちょっと良くなったかもしれない。


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